「50MHzのkW免許」

私がハイパワー免許への変更申請をして検査に合格した時点では、地方総合通

信局決済による50MHzの空中線電力は500Wまででしたが、その後50MHzのkW免許

決済が本省決済より地方決済へ移行されました。


私の目標は「第一級アマチュア無線技士が開設する普通のアマチュア局」の免

許取得と運用でしたが、今回の制度改定も対応すべき範疇でしょう。

 

さて、今回の変更申請は、50MHzのkW免許を新たに取得すると共に、前回の検

検には間に合わず「総務省の国家検査に合格したが、自分では不満足」な部分

まで、完璧に仕上げる「新たな楽しみ」となります。

  

変更に関しては、手持ちのリニアアンプ(IC-PW1)が50MHzも含めkW仕様ですの

で、送信装置の部分変更として免許を取得することになりますが、以下のよう

に手順を踏みました。

  

 1.50MHzの1kW申請に関する、書類の提出と事後対応

 2.リニアアンプの改造

 3.50MHzのインターフェアについて

  

さて、3月31日に申請を提出し、変更許可が4月18日に降りましたので直ちに落

成届を提出したところ、なんと検査は一週間後の25日に実施と決まりました。

前回同様、本当に恐るべきスピード処理です。

 

先月、HF帯のkWと50MHzの500W検査を受けているため、既に書類などは全て揃

っており、変更はリニアアンプの出力変更のみであり、前回より幾分か気持ち

も楽に検査を迎えることができました。

 

今回も午前10時からの検査でしたが、9時45分ごろにはN総務技官をはじめ3名

の方が乗用車にて到着しました。

N検査官は、まずは「久保さんとは同い年ですネ....」などと和んだ空気を雑

談で作りながら、免許人の緊張をほぐしてから検査の開始です。

  

検査手順は前回と同じで、まず書類関係の免許証から始まります。

無線設備関係も、ダミーロードと「バードの電力計」を使用した出力測定から

始まりましたが、今回は「F3波で送信して下さい」と言われ、少々驚いてしま

いました。

 

次に、50MHzのアンテナを接続して試験電波を発射し、TVIの調査を実施しまし

たが全チャンネルとも問題ありません。

特に、第二高調波が関係する2chは、連続送信のF3波を使用して、これでもか

と思えるほど、受信画面を入念に検査されました。

 

そして、アンテナを接続した状態で進行電力・反射電力の測定が行われ、最後

は、例のモトローラ製の測定器による戸外での電界強度測定がありました。

今回は、拙宅周辺の複数箇所での測定と、アンテナを回転させながらの測定が

実施されています。

ちなみに、ビーム方向フロント位置での測定値は10V/mでしたので、余裕の値

で検査合格です。

  

結果は勿論、指示事項なし合格です。

私の免許状は、全て1kWの出力となりました。

 

☆これが、1kWの無線局免許状国家の検査に合格した証の無線局検査簿

 

 50MHzのkW化により、無線局免許状が二枚綴りになりました。

  

「検査合格後....の、ひととき」

前回の検査の際も同様でしたが、50MHzアンテナのビーム方向を無線器機が設

置された部屋に向け直した上で、無線室の中から始まり、無線室の窓の外まで、

免許人が無線設備を操作する周辺の電界強度が測定されました。

筐体輻射等も含め、条件が厳しいハズですが、それでも十分満足する電界強度

(6V/m)でしたので、電波防護に関しては免許人自身の安全まで、十分に満足さ

れている事が確認されまています。

 

ちなみに、前回の変更検査の際の同様な測定時には、検査官の間で「測定器が

壊れた....」と大騒ぎになった程の「低レベル・検知限以下」でした。

 

その理由とは....

 →1.拙宅が軽量鉄骨家屋であるため、電波に対するシールド効果がある。

 →2.過剰な規模のアンテナをクリスマスツリー状に架設していないため、垂

   直面指向性が極めて良好である。

 →3.無線機器からの筐体輻射、給電線や電源ライン等からの不要輻射を極限

   まで追い込んである。

如何ですか....、ここまでやれば検査官も納得せざるを得ないでしょう。

 

さて、全ての検査も終了し、無線局免許状と検査簿の交付を受けたあと、迎え

の車が到着するまでの間、今回のリーダーであるN検査官と雑談をしました。

やはりN検査官も中学生の頃からアマチュア無線をされているそうですが、テ

キパキと、的を得た検査を短時間で終了するのは、やはりアマチュアの事を熟

知しているからでしょう。

こういう「事情が解った人」に申請受付から落成検査までを担当してもらえる

と本当に助かります。

検査は当然のことながら「厳格」に行われますが、基準を満たすための方法に

ついて、的確なアドバイスを頂戴する事が出来るからです。

N検査官は口に出しませんでしたけれども、九州電気通信監理局長まで勤めら

れたJA3AA・島OMの精神が、今でも近畿総合通信局に受け継がれているように、

私には感じられました

 

最後に....

多くの人から言われている事ですが、総務省総合通信局の検査を受けて、真の

アマチュア無線局を開設する際には、とりあえず「申請してみなければ解らな

い事」が多すぎるような気がします。

幸いなことに、近畿総合通信局では職員の半数近くがアマチュア局を開設して

いるそうで、アマチュアに対して理解があり、好意的であり、丁寧に対応して

くれます。

その一方、全く役に立たなかったのが「日本アマチュア無線連盟」と言う団体

でした。

 

さあ、これで普通のアマチュア局に免許される最高出力は全て揃った事になり

ました。次は、何をしましょうか?

 

2003年4月25日・1.8〜50MHz 1kW変更検査合格。

奈良で初の50MHz・kW局となりました。

  

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