国内の無線機メーカーからは、ATUと呼ばれるリモート制御のアンテナ
チューナーが発売されています。
海外に目を向けるとSGCという専業メーカーが有名でしょう。
元々、この手の製品のルーツはコリンズが航空機に搭載するためにライ
ンナップしたアンテナチューナーだと聞いています。
☆国産品の凡例。
これはICOM社のAH-3というATUです。
既に製造中止となり、現在は後継機のAH-4が流通しているようです。
私は、KenwoodとICOMの10年程度前の製品しか使用したことがありませ
んので、それを前提にATUの使用ヒントを挙げてみましょう。
@放射エレメントは使用する電波に共振させるべき。
カタログなどには「任意の長さのエレメントに電波を乗せること」
が可能なような記載がありますが、電波が放射されるエレメントは
片側が1/4λの長さにするに限ります。
共振した放射エレメントを使用するか否かは、電波の飛びや受けに
著しい影響を与えます。
A接地型アンテナの場合、接地の確保が重要。
ATUはジェット旅客機や船舶で使用している例がありますが、旅客
機や船舶はその筐体が巨大な金属板であり、良好な高周波アースだ
とも言えるでしょう。
我々が自宅や屋外で使う場合は、そこに工夫が必要です。
たとえばアパートのベランダならば、高周波アースになりそうな金
属露出物を探すとか、銅板による建物との静電結合の利用など。
移動運用時ならば、1/4λ未満の電線敷設によるアースマットの構
成などでしょうか。河原や海岸などならば、水の中に割り箸程度の
アース棒やハガキ大の銅板を投げ込むのが効果的でしょう。
BRF(自局の高周波)の廻り込み対策。
無理な短縮や無茶な架設をしたアンテナエレメントとATUを併用す
ると、高い確率でRFの廻り込みが発生します。
正しい対処の方法は、放射エレメントの長さを適切に調整する事と
接地型アンテナであれば接地状態の改善です。
ATUは賢い(或いはバカな)ので、放射エレメントや接地の状態が悪
いと、自分に接続されているあらゆるワイヤーに電波を載せようと
チャレンジしてしまうようです。
同軸ケーブルや、制御ケーブルなどが「あらゆるワイヤー」と言う
ことになりますね。
RFの廻り込みをフェライトコアなどで抑えても、アンテナとしては
不十分な放射エレメントなどとの「見かけ上」の整合をとってくれ
るダケとなりますので、電波の飛びや受けはイマイチな結果が待っ
ています。
☆自分の首を絞める、RF廻り込みに対する悪い対処例。
FT-114#43にATU側のケーブルを巻き込んでありますが、これでRFの廻り
込みは皆無になるでしょう。
しかし、「見かけの使用状態」が改善しただけで、肝心の電波の受けや
飛びはイマイチかも知れません。
とりあえずオン・エアできたとしても、相手の信号が聞こえなければ話
が始まりませんし、自局の電波の飛びが悪いとストレスが溜まるだけで
す。
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