☆IC-7000とIC-910の周波数確度向上


  昨年、大胆にも第一ロットのIC-7000を購入しましたが、これがナカナ

  カ秀逸な製品でして、私は非常に満足しています。

  創業者が生きてる間?に従業員が一丸となって作ったIC-7800は、無線機

  としては最高峰の素晴らしいものですが、その勢い(ノウハウの応用を

  含め)でフツーの無銭家に売るために作ったIC-7000は、もっと素晴らし

  い物だと思います。

  IC-7800への投資は、後継機種に生かされてこそ....ですね。

  

  ☆とりあえず、私のお気に入り

  

  「小型化し過ぎて、老人には使いづらい」という評価もありますが、携

  帯電話の米粒のようなキーを駆使して馬券を買って楽しんでいる年金生

  活者も少なくない21世紀です。

  老害が叫ばれて久しいアマチュア無線界ですから、むしろクスリになる

  んじゃないでしょうか。

  

  さて、話を本題に戻して....

  IC-7000はTCXOを使用していないワリに周波数安定度が良いようですが、

  そうなると欲が出て、周波数確度も気になります。

  

  ☆基準周波数の校正は、このメニューで

  

  普通の校正の手段は、旧JJYやWWVなどの10MHzあたりの標準電波を受信

  して、サイドトーンとの「うなり」の周期を最長にする方法でしょう。

  そうすると、1.9MHz帯などの低い周波数では問題になりませんが、50〜

  144〜430MHz帯と周波数が高くなる倍率と比例して、周波数確度の誤差

  が大きくなります。

  たとえば、10MHzのWWVなどで校正したとしても、430MHz帯では43倍の誤

  差が生じるようです。つまり、「なるべく高い周波数」の「高精度」な

  電波を相手として校正した方が良さそうです。

  

  ☆高精度な基準信号は、身近にコロがっている

  

  近畿地方では、近畿広域圏向け民放テレビ局の親送信所が生駒山にあり

  ます。その送信所(親局)に設置したアナログ送信機は、ルビジウム発振

  器の信号を元にキャリア周波数を発生させているそうです。

  ですから、無銭家は、生駒送信所からのアナログ・テレビ放送の電波を

  受信し、AM変調されている映像信号のキャリア周波数を利用すれば、無

  駄な出費を抑えられます。

  運が悪ければ、送信機の保守・調整で安定度や確度が落ちている場合に

  遭遇するでしょうが、そんな稀な機会に出会えた日にゃ、文句を垂れる

  前に「宝くじ」か「馬券」でも買ってみましょう。Hi

  

  そして、最近のアマチュア無線機のサイドトーンは、内部の基準信号を

  分周して作っていますので、非常に正確で安定しています。

  AM変調されたテレビ放送の映像信号をCWモードで受信して、無線機のサ

  イドトーンと合致させれば、ルビジウム発振器の高精度な周波数確度を

  手軽に得られる校正が可能です。

  

  以上で受信周波数の確度は向上しましたが、送信周波数の確度はトラン

  シーバーが3台あれば「鳴き合わせ」で検証することが可能です。

  昔の無線機ではありませんから、送受周波数のズレについての心配は無

  用でしょう。

  

  ところで、普通にIC-7000を購入した場合、地上波アナログ・テレビ放

  送のVHF1〜3Chの映像周波数を受信可能な製品が手に入ります。

  近畿地方のVHF-TVで1〜3ch(Low-Channel)を使用している某有料放送局

  の映像信号も受信してみましたが、多少QRHがあるような?。Hi

  一方、High-Channelですと無料の民放が複数局受信できます。

  民放3局を比較しても各社ルビジウム発振らしく、QRHは全く確認できま

  せんでした。もちろん周波数確度も優れていました。

  てなことで、校正には、多数決論理で確実性の高い結果が得られる民放

  の電波を利用したほうが良いと思われます。

  

  なお、このHi-Channelを受信するにはIC-7000の受信周波数範囲を「製

  品のポテンシャルどおりに」復元する必要があります。

  私は、MAIN基板上の胡麻つぶ程度のチップ・ダイオードを、1個取り外

  しました。

  

  

  ☆次は、IC-910の校正です

  

  タテマエを言うと、電話級などではなく上級資格保持者が開設する真の

  「アマチュア局」は周波数測定装置の所持を義務付けられています。

  IC-7000ですと、短波のWWVが受信できますので電監の検査の際に「免許

  申請書に記載した周波数測定装置」の校正のまねごとが可能です。

  しかし、IC-910はヨソさまの国の短波帯の標準電波を受信できませんか

  ら、「周波数測定装置の誤差が0.025%以内」を即席で証明できません。

  

  電波法施行規則第11条の3第7号は、「HFに出れない電信不問の初級者の

  低出力な無線設備だったら周波数測定装置は要らないよ..、でも時代が

  変わっちゃって若干ツジツマが合わない....ケド」と読み取れます。Hi

  きょうびは、私ですらVHFのkW免許局を開設していますから、時代遅れ

  の施行規則に甘んじることなく、周波数測定装置を備え付けるべき時代

  です。

  

  もちろん、メダマが飛び出るような高価な周波数カウンターを、毎年、

  有料校正に出せる人は多くないでしょう。しかし、無料なテレビ放送の

  電波を利用して、無線機に装備された周波数表示部(カウンター)の校正

  ができれば、これは素晴らしいことじゃないですか。

  

  

  さてさて、再び話を本題に戻しましょう。

  IC-910にオプションのTCXOを入れると、周波数安定度は0.5ppm以下にな

  るそうです。でも、周波数確度はどうなんでしょうか?

  

  手持ちの機材(安価なカウンターなど総動員)で調べてみると、1200MHz

  バンドでは600Hz程度ズレていることが確認できました。

  1200MHz帯での0.5ppmは600Hzですから、安定度を確度と読み替えてもカ

  タログ保障値に収まっているようですが、なんだか面白くありません。

  

  ☆さっさと校正しましょう

  

  IC-910の受信可能周波数範囲はUSA仕様の製品が参考になります。

  うまい具合に、日本の地上波アナログ・テレビ放送の第4Chの映像信号

  周波数が含まれていますから、テレビ放送局のルビジウム発振機と校正

  可能なポテンシャルを隠し持っていることがわかりました。

  これを利用しない手はありませんね。

  

  私の場合TCXOを装着していますので、そのトリマーを回して校正します。

  調整前の状態で、144MHz帯では66Hz程度の偏差がありましたが、簡単に

  「信頼できる周波数」と校正することができました。

  

  ところで、IC-910も受信周波数範囲の限定解除をする必要があります。

  私は、DISPLAY基板の空きランドの一つに1SS-355を追加しました。

  

  ☆不思議なこと

  元来、無線機が持つ「隠された」能力を使用するために、私はダイオー

  ドを削除あるいは追加しました。

  その情報ソースは、関連語彙でインターネット検索した結果、海外のサ

  イトから得られた情報です。

  しかし、何で日本の消費者は、国内の無線機メーカーの製品を使う際に

  海外から情報を得なければ、機能を十分に活用できないのでしょうかね。

  

  

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