UTVシリーズ の(不)定期点検。


  「マイクロ帯の入り口」ぐらいである1200MHzや2400MHz用帯の機器は、マキ

  電機のトランスバーターを使用しています。

  これらは「ウナギの寝床」のようなケースに統一された製品群ですが、周波

  数帯が高くなるにつれ「お値段」も高くなります。

  そんな周波数帯で運用している方は「マイクロ波が大好きな人」以外は殆ど

  居ませんので、私の運用状況からコストパフォーマンスを推し量ると、マイ

  クロ波は2400MHzあたりまでかなぁ....といったところです。

  

  さて、その中味は「匠の芸術品」のような作りなので、時々は調整・整備し

  てやるのが「いつも気持ちよく使う」ための必須条件なんでしょう。

  

  ☆「黒猫」で、やりとり。

  

  このマイクロ波の機器メーカーは小さな会社です。

  全国津々浦々どころか大阪にすら営業所がありませんので、「黒猫」に運ん

  でもらい、本社で整備を実施します。

  今回は、運送期間も含めて、約二週間で点検整備が完了しました。

  

  ☆まず、一台目。

   

  UTV-1200B2Pを保守点検するとともに、機能強化を図りました。

  

  ちょいと以前ですと、1200MHzでの交信で「トランスバーターを使っている」

  と言うと、頼みもしていないのスプリアスがあるだとかナンだとかと、難ク

  セを付けてくる方が居ました。

  見通し距離のSHFなら、そんなもんが聞こえるのはアタリマエの話なんです

  が、V/U/SHFとバンドが上がるたびに増加する「電話級のつまらん御仁」に

  付き合うのも疲れます。Hi

  よって、コンテストぐらいしかV/U/SHF波のバンドには出なくなりました。

  

  ☆周波数の安定化。

   

  PLL方式の周波数安定化を実施しました。

  

  原発振が水晶だと、受信から送信に切り替わった瞬間のQRHが感じられます。

  昔のUゾーンの局の「ピョー・ピョ・ピョーピョ....」じゃありませんが、

  CQの安売りをするコンテストでは耳障りでしょう。

  

  もう、UTV-1200B2P自体の販売が終了し、従来のTCXOを逓倍する安定化改造

  サービスも終了していました。

  最近は、水晶原発振を逓倍した後の段階を、別途TCXOとPLLでロックする方

  法で安定化するように変わっています。

  外部から、精度の高い基準周波数を注入できるのがミソのようですが、そこ

  まで高精度である必要がありませんので、外部注入は省略して改造してもら

  いました。

  

  ☆トータルでも、かなり安定化しました。

   

  UTV-1200B2Pの原発振の安定化と共に、親機のFT-817のPLL基準発信もTCXO化

  して安定化しましたので、当局の1200MHzの電波も相当安定化したことにな

  ります。

  

  ただ、モニターしてみるとPLLでロックした信号より単純に原発振を逓倍し

  た信号の方がトーンが綺麗なようで、このあたりは痛し痒しなところかも知

  れません。

  

  ☆次に、二台目。

   

  UTV-2400B2Pの整備も実施しました。

  

  昔は電子レンジと言われていた2400MHz。

  今は無線LANや何やらでバンド中が無茶苦茶になってる周波数帯です。

  

  最新技術の無線LANなどが跋扈する周波数帯で細々とアナログ通信をやって

  いると、ホリエモン....じゃない、「21エモン」という古い漫画のストーリ

  ーを思い出しませんか?(Hi)

  

  ☆古典的な、周波数安定方法。

     

  こちらは、ハイバンドなので以前から「高価」なTCXOを入れてあります。

  高価な値段だけの「効果」は、確かにありますね。

  

  500Hz幅のフィルターを使用してCWを聞いていると、TCXOを使用していない

  方の信号を捕らえることが難しくなります。

  「江戸むらさき・特級」のCFじゃありませんが、QRHする信号が通過列車の

  ように500Hzのパスバンド内を駆け抜けてしまうからです。

  混信も無い2400MHzでナゼCWフィルターが必要かと言うと、無線LANなどから

  の混信を避け、了解度を上げるために必要なのです。

  

  ☆小さな対策、大きな負担。

   

  送信側のみならず、受信側もキャビティーによるBPFを装備してあります。

  その効果は....、未知数ですが。Hi

  ホンの小さな無線LANなどからの妨害に対する対策ですが、ちりも積もれば、

  無視できない負担になりますよね。

  

  ☆無事、完了。

     

  今回の保守で、我が家の無線設備の原発信は全てTCXO基準となりました。

  自慢するほどのことでもありませんが....ねぇ。

  

  まぁ、周波数の確度や安定度を上げることは悪くはありませんが、それは男

  のロマン....のようなものを一つずつ失っていくような気もしないわけでは

  ありません。

  

  ☆保守・改造の明細。

   

  時代と懐に合わせて成長するトランスバーターですが、さて、次の不定期保

  守点検は一体いつになるんでしょうか。

  

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