IC-726のように、1段しかフィルターが入ってないような普及品のトラ
ンシーバーは、受信選択度を優先させるため、「比較的、帯域の狭い」
SSBフィルターが装着されています。
ですから、送信音も狭帯域の「硬目」となり、個性の無い音質になりが
ちですが....。
まぁ、それにしても、SSBだけでは無く、AMやFMも受信音質が悪いです。
ラジオのAM放送を聞ける音ではありません。
フィルターの帯域だけの問題では無さそうですので、とりあえずSSBの
総合受信特性をFFTスペアナ(もどき)で調べてみました。
☆結果は、こんな極端なハイ落ちでした。(3kHz以下の傾斜が!)
☆周波数(横軸)をLog表示すると、↓こうなります。
高域をワザと落としてある「音造り」が、されていますね。
電話通信において、音質を求めない場合は、高域をロールオフしてしま
うと耳障りなノイズを抑える効果があり、了解度を上げる事になります。
また、9MHzのIF段にしかフィルターが入っていない普及機の場合は、混
信軽減にも効果があることでしょう。
まぁ、高域が素直になって何か問題が出たら、外付けのフィルターやイ
コライザーを付加する事とし、単体での音質改善に着手することにしま
しょう。
まず、回路図を眺めるとSSB・CW/AM/FMの各検波器出力にCR型ローパス
フィルターが挿入されていますので、これを除去します。
☆SSB・CW検波器の出力は、このあたり。
アッテネーターとローパスがCR回路で構成されていますが、C125および、
回路図には載っていないC322を除去します。
これで、3kHz近辺では6dB程度改善されましたが、まだまだです。
次は、AF段バッファアンプです。
ここも、CR型のローパスフィルターが構成されていますので、コンデン
サーの値を加減します。
☆信号をピックアップしているあたりが、AFバッファ・アンプ。
C224、297、300の値を小さくしました。
☆以上の結果の特性です。
如何ですか?、3kHzまでスカッと伸びたでしょう。
通常の局のSSB信号は、高域成分がそれほどありませんので、その差が
顕著ではありませんが、帯域が広いSSB信号を送信している局を受信し
た場合は「聞こえ方が違います」。
一方、AMモードでラジオ放送を受信してみると、ナカナカの音になりま
した。
夜間、ダイヤルを回していると、1400kHzあたりで「ド演歌」の低音が
響いて来ますが、高域あってこその低域ですね。
もちろん、ラジオ放送はプリエンファシスを実施していますので、AM検
波器出力のローパスは完全に除去せずに、ディエンファシスとなるよう
に、値を加減しているところです。
NHKのように信号強度の強い放送はS/Nも良いのですが、音質改善した後
は「AKからの全中と、BKローカルの音質の差」が聞き取れる様になりま
した。
さて、SSBの総合受信特性は3kHz以上に「段」が出現していますが、目
的信号の第二高調波の問題です。
しかし、目的信号と40dBも差がありますので、私は気になりませんが、
どんなもんでしょうかネ。
☆IC-756PRO2の特性。(選択度3.6kHzのSSB)
流石、DSPでのフィルタリング・検波は、素晴らしい特性を示します。
さぁ、次のオモチャは....、コレ。
☆単なる、「まともなコンデンサ・マイク」
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